ヴォース・ニッポンとは? |
■ ヴォースとは??
英語のVOS(ヴィオーエス)をそのまま読んだものです。VOSは、Voluntary Observing Ships の略で、ボランティア(篤志)観測船のことです。わたしたちは、民間の船舶に観測装置を取り付けてもらい、海水の温度や塩分などを計測してその結果を公開する活動をしています。 |
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■ なぜヴォースなの??
地球表面の約3分の2は海洋でおおわれ、地球上にある水の97%以上が海水です。その海水には大気の約50倍の二酸化炭素が溶け込んでいると言われています。地球環境の変動は海の役割を正確に知らずには理解できません。しかし、実は海で起こっていることにはまだ分からないことがたくさんあります。広い海を知るために、衛星、ブイ、観測船などをつかって、またいろいろな国が協力して研究を進めています。世界中の海を航行している民間船舶も、航海中に計測できるデータを集めて海洋の仕組みの解明に貢献できる機能を持っているのです。 |
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■ なぜNPOなの??
衛星を打ち上げたり潜水調査船で深海底を調査したりスーパーコンピュータを使った数値モデルによる予測を行ったり、大きくて専門的な組織を構成しないとできないことがたくさんあります。一方、民間船舶に装置を載せてもらい入港ごとにデータを回収して広く公開するといったことは、公益性と機動性を持つわたしたちNPOがうまく分担できる部分であると確信しています。 |
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■ 具体的にどんな活動をするの??
厳しい商業ベースで運行されている船舶にVOSとして協力してもらうために、自動的に計測ができる単純で信頼性の高い装置を開発して、船に取り付けてもらいます。船の空調機などに供給されている冷却用の海水の一部を装置に通して、水温と塩分を、位置と時間とともに1分毎に測定し、VOS船の入港時に収録されたデータを回収して、無償、無制限、即時の原則でウエッブサイトに公開します。これらの一連の作業が常に円滑に継続的に進められるよう、関係者との連携を保ち、正しいデータがとれるようにセンサや装置を点検し、回収したデータを点検整理して公表しています。 |
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■ どんなデータが取れるの??
水温と塩分です。2002年6月から2005年11月までは、アジア海域のクロロフィル蛍光度を計測しました。また、必要に応じて、日本近海で海水を採水してもらい、陸上で分析して計測値の補正や検証に使用します。水温(熱)と塩分は、大気に直接影響を与え、また海洋の循環を駆動している基本的な要因の一部です。クロロフィル蛍光度は、植物プランクトンが光合成によりどの程度の量の有機物を生産するかの指標になり、地球表層での炭素の循環に大きくかかわっています。近い将来に計測技術やセンサの開発が進めば、より多くの項目でより精度の高い観測ができるようになり、VOS船の社会的な意義が今後ますます高まることが期待されます。 |
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■ VOS船で取ったデータは何に役立つの??
VOS船のデータは、海洋表層の現在の状態をわたしたちに示すとともに、次のような分野で直接役立つことが可能です。
(1) 地球温暖化などによる海洋変動のモニタリング
(2) いろいろな数値モデルの検証
(3) 目的指向の計測への発展
(4) 国際協力 |
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