まず、船底から取り入れた海水を閉鎖した流路に流して、海水の物理的、化学的な性状を自動計測できる装置を作る必要があります。常に流れている海水中でセンサを使用しますので、どのようにセンサの汚れを防止するか、あるいは多少の汚れでは計測値にあまり影響がないようにするにはどうすればよいかなど、メーカの人たちの協力を得て、解決して行きます。それと同時に、装置を長期的に稼動させるために必要な経済性を保つ工夫が重要です。1カ月程度の自動連続計測を行っているのは、現在は水温と電気伝導度 (塩分)ですが、もっと多くの項目が自動計測できるように実現して行くのも私たちの役目です。そして装置を搭載してくださるVOS船を募る活動も大変重要です。長期的に安定してデータが取得できるよう、船の荷主や運航にかかわる企業のご理解とご協力を得たり、実際に装置を船のどの場所にどのように取り付ければ装置の機能が損なわれずかつ船の運行にも安全か、など、多くの関係者の理解を得て問題を解決する努力が必要になります。そして常に精度の高いデータを取得するため、船が日本国内の港に入港している間に訪船して、センサの清掃・調整など装置の維持作業を行い、装置に収録されたデータを回収します。持ち帰ったデータは、計測位置、流量、船の航行状況、などをチェックしたうえ、有効なデータを海域別に1度格子ごとに分けて、ウエッブサイトで公開しています。
装置の開発からデータを使って下さる方までの間には、多くの関係者が存在します。多数の関係者の協力を得て継続的にデータが取得できるよう、常に正しい情報を迅速に誠実に伝えて、関係者との対話を維持して行くことが私たちに与えられた重要な任務です。
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