私たちは、民間の船舶に観測装置をのせていただき、計測したデータを世界中の誰もが自由に利用できるよう公開している認定NPO法人です。このサイトから、アジア海域、太平洋海域、および日本沿岸海域の表面水温、塩分などのデータがご利用いただけます。海洋の現場で精度の高いデータを長いあいだ取りつづけることによって、海洋環境の変動を解明することにかならず貢献できると、私たちは確信しています。
一粒の雨滴がおおきな波紋に広がるように。 |
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はじめに |
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何のために活動しているのか私たちは、2001年3月に活動を開始した認定特定非営利活動法人です。地球表面の3分の2を占める海洋は、大気と接していますので、例えば、大気中のCO2を吸収したり、海水の熱で大気を暖めたり、大量の雨雲を作ったりします。もちろん、その逆もおこります。海洋と大気の境界面でもある海洋表面を、民間船舶を利用して、長期にモニタリングすれば、気候変動や水循環など地球環境の変化を正確に理解することに貢献できます。経済活動に従事している民間船舶に篤志観測船として協力していただき、精度の高いデータを長いあいだ取りつづけるために、NPOがよりよく分担できる役割があります。私たちの活動は、社会が直面する課題を直接解決するものではありません。しかし私たちは、海洋の基礎データは社会的な共有財産である、と捉えることにより、豊かな社会の基盤を築くことができると確信しています。私たちのあゆみ私たちは、海洋の基礎データを誰もが自由に利用できるよう広く社会に提供し、海洋環境の変動を解明することに貢献するという活動理念のもとに、2001年8月から2014年8月まで日本とタイランド湾のアジア海域を航行する貨物船に、また、2002年7月から2017年2月まで日本と豪州の南北太平洋間を航行する石炭運搬船に、水温、塩分観測装置を搭載していただき、外洋航行中に1分毎に計測したデータをweb上に無償、無制限の原則で公開してきました。また、2017年9月からは、東京と北海道間の沿岸海域を航行するRoRo船で水温、塩分、pHの観測を開始し、データを公開しています。陸上と較べて、観測の基盤が圧倒的に少ない海上では、海上輸送にかかわる皆様のご協力により効率的に海洋データを収集する仕組みを作ることは、社会全体に大きな利益をもたらします。私たちは、この仕組みを機能させるために重要な役割を果たすことができると信じて、これからもあゆみ続けてまいります。 どんなデータを取っているのか塩分と水温は、海洋における基本的な物理量です。アジア海域船、日豪海域船、沿岸海域船の全てで水温と塩分を計測しています。海水が熱を蓄える性質をもつため、海に面した地域の気候が内陸部より穏やかであることは良く知られています。熱を蓄えた海水は、風、水温と塩分濃度によって決まる海水の密度の違い、地球の自転などによって、移動と混合を起こし、熱エネルギーや二酸化炭素など海水に溶け込んでいる物質を輸送しています。2002年6月から2005年11月まで、アジア海域船で蛍光強度を計測しました。蛍光強度は植物プランクトンの現存量の指標となります。植物プランクトンは、光合成によって二酸化炭素を取り込んで有機物を生産しますが、生産された有機物の一部はやがて深海底に沈下して、炭素を海洋表層から深層へ移動させます。 クロロフィルaを指標とした植物プランクトンの現存量は、海洋における炭素循環の基礎的な情報であるといえます。 また、2018年11月からは、沿岸海域船でpHの計測を実施しています。大気中の二酸化炭素濃度が上昇して海洋に溶け込む量が増えると海水の酸性化が進みます。海洋の酸性化は、特に炭酸カルシウムの殻を持つ生物への影響という点から懸念されており、pHのデータは複雑な海洋生態系を理解するために有用な情報です。 組織概要
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