観測システムの概要
ヴォース・ニッポンが篤志観測船に搭載していただいている観測装置の概要は次のとおりです。篤志観測船が船底から汲み上げた海水の一部を、電気伝導度センサやpHセンサを設置した閉鎖流路に、毎分約1〜2リットルの割合で連続的に流し、GPSから取得した位置・時刻情報と、取水された海水の温度変化が少ない船底付近の冷却用海水のバイパス管に設置した水温計の出力とともに、計測日時、緯度、経度、針路、船速、装置内流量、水温、塩分、pHなどのデータを電子媒体に1分毎に収録するものです。収録されたファイルは、篤志観測船が本邦沿岸海域にあるときに、携帯電話回線を介して装置にアクセス、計測ファイルを回収しています。
観測装置の基本システム

沿岸海域船(-04船)の観測装置流路部詳細

観測の制約条件
ヴォース・ニッポンが運用している観測システムの制約条件としては、(1) 船の載荷状態によって、船底の取水口の水深が変動すること、(2)船底から取水された海水がセンサに到達するまでの間に、GPS による計測位置からの遅れが生じること、(3) 水温については、船内環境の影響が最も少ない船底近くで計測しているが、船内温度の影響を全く受けていないとは断定できないこと、があげられます。
使用センサ
アジア海域を航行するアジア海域船(2001年9月-2009年4月までは-01船、2009年8月-2014年7月までは-03船)、日豪間を航行する日豪海域船(2002年8月-2017年1月まで-02船)、および日本沿岸を航行する内航船(2017年9月以降 -04船)で使用しているセンサは、次のとおりです。
●-01船、-03船(アジア海域船)の使用センサ

センサ |
型式名 |
測定範囲 / 精度 |
水温・電気伝導度 |
(2001年9月 -2014年7月 )
SBE 45, Sea-Bird Electronics, Inc., Serial No. 4525798-0028
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水温: -5 - +35度C/0.002度C
電気伝導度: 0 - 70 mS/cm/ 0.003 mS/cm
塩分精度: 0.005 PSU(計算値)
較正年月
: 2012年5月22日
: 2011年7月30日
: 2009年7月28日
: 2007年9月10日
: 2005年8月9日
: 2003年9月23日
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クロロフィル蛍光光度 |
(2002年6月 - 2005年11月)
DFLS, WET Labs, Inc., Serial No. DFL-098 |
0 - 50μg/lit.
感度: 0.025μg/lit.
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船底水温 |
(2002年10月 - 2005年2月)
PALT-RT管内水温計
鈴木電子株式会社 |
水温: -5 - +35度C
分解能: 0.001度C
精度: 0.05度C |
(2005年9月 -2014年7月 )
SBE 38, Sea-Bird Electronics, Inc.,
Serial No. 3839369-0195 |
水温: -5 - +35度C
精度: 0.001度C
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時刻・位置 |
(2001年9月 - 2008年3月)
Acutime 2000, Trimble Navigation Ltd.,
Serial No.12101348 |
位置: 40m CEP
速度: 0.25m/s CEP
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(2008年11月 -2014年7月 )
GPS124 JLR-4340, Japan Radio Co., Ltd. Serial No. KE59737 |
精度 30m (2x DRMS)
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流量 |
FS-3S-0J
Regal Joint Co., Ltd.
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0.5 - 3 lit./min.
精度: ±2.5%
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●-02船(日豪海域船)の使用センサ
センサ |
型式名 |
測定範囲 / 精度 |
水温・電気伝導度 |
(2002年6月 -2017年2月 )
SBE 45, Sea-Bird Electronics, Inc., Serial No. 4525798-0050
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水温: -5 - +35度C/0.002度C
電気伝導度: 0 - 75 mS/cm/ 0.003 mS/cm
塩分精度: 0.005 PSU(計算値)
較正年月:
: 2015年4月6日
: 2013年4月3日
: 2010年9月23日
: 2008年9月11日
: 2006年9月15日
: 2004年10月2日 |
船底水温 |
(2002年7月〜2004年9月10日)
PALT-RT管内水温計
鈴木電子株式会社 |
水温: -5 - +35度C
分解能: 0.001度C
精度: 0.05度C |
(2004年9月〜2017年2月)
SBE 38, Sea-Bird Electronics, Inc., Serial No. 3836226-0228 |
水温: -5 - +35度C
精度: 0.001度C
較正年月:2012年7月6日(水温センサ交換時)
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時刻・位置 |
GPS-112 JLR-4330J, Japan Radio Co., Ltd. Serial No. KD96116 |
精度 位置15m (2xDRMS)
速度応答性 速度 108kt
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流量 |
FS-3S-4J-S
Regal Joint Co., Ltd.
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0.5 - 3lit/min.
精度 ±2.5% |
●-04船(沿岸海域船)の使用センサ
センサ |
型式名 |
測定範囲 / 精度 |
水温・電気伝導度 |
SBE 45, Sea-Bird Electronics, Inc., Serial No. 4525798-0050
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水温: -5 - +35度C/0.002度C
電気伝導度: 0 - 75 mS/cm/ 0.003 mS/cm
塩分精度: 0.005 PSU(計算値)
較正年月:
: 2017年6月28日 |
船底水温 |
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SBE 38, Sea-Bird Electronics, Inc., Serial No. 3836226-0228 |
水温: -5 - +35度C
精度: 0.001度C
較正年月:2012年7月6日(水温センサ交換時)
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pH |
Honeywell Durafet III 7777DVP pH Electrode Serial No. -5699764, with UDA2182 Analyzer
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pH 0-14
水温 -10 to 110 度C, +-0.1 度C,
出力精度: +-0.01mA
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時刻・位置 |
GPS-124 JLR-4330, Japan Radio Co., Ltd.
Serial No. KF56514
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精度 位置13m (2DRMS)
測定間隔 1秒
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流量 |
FS-3S-4J-S
Regal Joint Co., Ltd.
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0.5 - 3lit/min.
精度 ±2.5% |
篤志観測船の概要
海洋表層モニタリング装置の搭載と運転にご協力いただいている船舶は、アジア海域を航行するアジア海域船(-01船、-03船)、日豪間を航行する日豪海域船(-02船)、および日本沿岸を航行する内航船(-04船)です。
アジア海域船 (-01船、-03船)
アジア海域船は、2001年9月から2009年4月まで計測を継続した第一船(-01船)と、2009年8月から2014年7月まで観測装置を引き継いだ第二船(-03船)があります。
アジア海域船のデータは、表面塩分(2001年9月から)および水温(2002年10月以降)です。また、2002年6月から2005年11月までは、クロロフィル蛍光強度を計測しました。これらのデータは、荷主や運航者、船主、アジア海域船の職員、運航代理店など、多くの関係者のご協力により取得されたものです。
アジア海域船の概要
第一船 |
2001年9月- 2009年4月
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船種 |
二層甲板貨物船 |
主要目 |
105.5m Loa x 19.0m B x 13.5m D、約9,500dwt、航海速力約13kt、満載喫水9.05m |
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主な航路 |
福山 -- バンサファン(タイ)
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運航者 |
JFE物流株式会社
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荷主 |
JFEスチール株式会社 |
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第二船 |
2009年8月-2014年7月 |
船種 |
二層甲板貨物船 |
主要目 |
97.6m Loa x 18.8m B x 13.0m D、約9,100dwt、航海速力約13.25kt、満載喫水9.2m |
主な航路 |
日本 -- アジア諸国 |
運航者 |
JFE物流株式会社(2011年9月まで)
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荷主 |
JFEスチール株式会社(2011年9月まで)
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(2011年10月以降は、船主である野間海運株式会社のご協力により計測)
日豪海域船 (-02船) (2002年8月〜2017年1月まで)
日豪海域船は、中部電力株式会社碧南火力発電所に主に豪州の東海岸およびインドネシアの東カリマンタンから電力炭を輸送する川崎汽船株式会社の石炭運搬船です。日豪海域船で取得されるデータは、表面水温と塩分です。これらのデータは、荷主の中部電力株式会社、運航者の川崎汽船株式会社、船舶管理者の太洋日本汽船株式会社、日豪海域船の職員、運航代理店など、多くの関係者のご協力により取得されたものです。
日豪海域船の概要
第一船 |
2001年9月- 2009年4月
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船種 |
石炭運搬船 |
主要目 |
249.9m Loa x43.0m B x 18.7m D、約89,000dwt、航海速力約14kt、満載喫水11.8m |
主な航路 |
碧南(愛知県)-豪州東海岸、および碧南-東カリマンタン |
運航者 |
川崎汽船株式会社 |
荷主 |
中部電力株式会社 |
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沿岸海域船 (-04船) (2017年9月〜)
日本の沿岸海域船は、日本通運株式会社が所有し、東京と北海道の苫小牧/釧路間の高速海上輸送に就航しているRoRo船 「ひまわり8」 です。2017年9月から運行を開始しました。船主の日本通運株式会社をはじめ、運航管理者や船舶職員のご協力により、表面塩分、水温、pHが計測されています。
沿岸海域船の概要
船種 |
RoRo船
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主要目 |
166.9m Loa x 27.0m B x 23.27m D、約10,620dwt、航海速力約23kt、満載喫水6.85m |
主な航路 |
東京湾 - 苫小牧/釧路 |
運航者 |
日本通運株式会社 |
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